研究課題/領域番号 |
21246100
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
折茂 慎一 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (40284129)
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研究分担者 |
大山 研司 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (60241569)
湯川 宏 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (50293676)
上床 美也 東京大学, 物性研究所, 准教授 (40213524)
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キーワード | リチウム / 水素 / 錯体水素化物 / 超イオン伝導 / 構造相転移 / 錯イオン / リチウムイオン二次電池 / エネルギー |
研究概要 |
リチウム超(高速)イオン伝導特性を示すLiBH_4をベースとした水素化物群の合成やその伝導機構の解明、そして関連する新たな水素化物群の創製などを目的とした研究を進めている。今年度、[BH_4]^-錯イオンの部分置換によってLiBH_4をベースとした水素化物群を合成し、構造相転移温度(=超イオン伝導発現温度)・融解などの熱的特性やイオン伝導率の温度依存性などを系接的に評価したところ、以下の結果が得られた。(1)[BH_4]^-錯イオンをCl^-やI^-などのハロゲンイオンで部分置換することにより、構造相転移温度が低下するとともに室温でのイオン伝導度が10~1000倍増大した。粉末X線回折・示差走査熱量分析・第一原理計算などを用いた評価・解析の結果、特にI^-での部分置換により室温でも超イオン伝導相が安定化することが判明した。またこの安定化の起源が[BH_4]^-間距離の増大と密接に関連することも見出された。(2)[BH_4]^-錯イオンを他の錯イオン(例えば[NH_2]^-錯イオン)で置換した効果を評価した結果、Li_2(BH_4)(NH_2)およびLi_4(BH_4)(NH_2)_3では室温で顕著なイオン伝導度の向上が確認できた。さらに、Li_2(BH_4)(NH_2)を融点(365K)以上に加熱することでそのイオン伝導度は6×10^<-2>S/cmにまで上昇した。このイオン伝導度は、通常のリチウムイオン二次電池用の有機溶媒系電解液と同等またはそれ以上の値であり、LiBH_4をベースとした水素化物群を次世代リチウムイオン電池電解質として機能化する上での極めて重要な特性であると考えている。
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