本研究では,耐熱合金の耐腐食性を著しく低下させる高温水蒸気酸化について、その機構を水蒸気酸化に関わる素過程に注目して実験的に明らかにした.水蒸気含有雰囲気では、水蒸気から解離した水素が合金内部に溶解し、内部酸化物/合金界面に吸着する。界面における酸素の輸送が増大し、内部酸化が促進されるため、保護性酸化皮膜が形成しにくくなる。他方、本研究では、鉄系やクロム系酸化皮膜中の水素透過能を測定した。金属と酸化皮膜で水素透過能と厚さの積をそれぞれに比較することで、高温酸化に及ぼす透過水素の影響を定量的に評価できることを明らかにした。
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