本研究では、宇宙の特殊な環境におけるウィスカ発生・成長メカニズムを解明し、これに基づき抑制策の提案することを大目標とする。本年度は、1)温度サイクルウィスカに対する真空環境の影響、2)基材の材質影響評価、3)エレクトロマイグレーション・ウィスカのメカニズム解明、4)表面コートの効果、5)シミュレーション・寿命予測の検討を行った。その結果、1)42アロイ基材試料では、高真空環境の温度サイクル試験後に発生したウィスカが大気中のものより細長いが、Ni下地がある42アロイ基材試料では、2000サイクルまでウィスカが発生しないことがわかった。2)基材の下地めっきによりウィスカの発生挙動が異なることを確認した。3)Sn-3Ag-0.5CuとSn-In系はんだを用いて、150℃程度の加熱環境下でEM試験を実施し、Snの結晶方位、結晶粒の大きさが、EM挙動に大きく影響することがわかった。4)すずめっき上に金属コートと有機膜コートを形成させた試験片を作製し、高温におけるウィスカ抑制効果を調べた結果、耐ウィスカ性が高いコート種を選別することができた。また、有機膜を剥離することで、膜下のウィスカの状態を観察することができた。5)有限要素法による解析を行うため、めっき膜のモデル化と基礎解析を進めた。
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