研究課題/領域番号 |
21246117
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大垣 一成 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (80107078)
|
研究分担者 |
佐藤 博 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 准教授 (60283743)
谷 篤史 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (10335333)
菅原 武 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教 (20335384)
|
キーワード | 水素 / 電子スピン共鳴 / ガスハイドレート / 水素結合 / 化学工学 / 水素貯蔵 / 高圧力 / 拡散 |
研究概要 |
交付申請書に記載した最終目的を達成するために、2つの課題「ハイドレートへの水素分子の吸収・放出に適した補助剤の探索(課題1)」と「ESR測定によるハイドレート籠内における水素原子移動の解析(課題2)」について研究を遂行した。平成22年度の成果は以下の通りである。 課題1では、昨年度発見した「再利用ハイドレート骨格における水素分子の拡散速度はフレッシュ骨格における拡散速度より大きくなる(プリトリートメント効果)」について継続して研究を行った。その結果、水素結合ネットワークが比較的柔軟であると思われるセミクラスレートハイドレート系にて、プリトリートメント効果が顕著に発現することなどを明らかにし、ハイドレート骨格内でのゲスト分子の拡散速度を向上させうるガスハイドレートを探索するための一つの指針を得た。 課題2では、大気圧下におけるハイドレート内での水素原子移動に関する研究を遂行しつつ、エキシマ光照射下かつ高圧力下でin situ測定可能なESR測定装置の開発を目指して専用高圧力チャンバーの開発を行った。前者では、昨年度部分的に明らかにした「隣り合う籠内のゲスト分子間の相互作用や、ゲスト分子-水分子間の相互作用が与える影響」について研究を進めるために、非炭化水素ガスやアミンをゲスト分子としたハイドレート内におけるラジカル種の熱安定性ならびに水素原子の移動について研究した。炭化水素系のハイドレート内では検出されなかったホスト分子由来のラジカル種が水素結合ネットワーク上を見かけ上移動することを示唆する結果を得た。ハイドレート籠内でのゲスト分子の滞留と拡散現象を解明する上で、水素結合の「ゆらぎ」などハイドレート籠の性質を解明することは重要であり、さらに研究を進める予定である。後者「専用高圧力チャンバーの開発」については、解決すべき問題を残しているが、当該研究期間内の完成に向けて開発を進めている。
|