研究課題
地球磁場を逃れて惑星間軌道にでると、強い太陽風が吹いている事が知られている。もしこの太陽風プラズマを宇宙機のつくる人工的な磁場で受け止めることが出来れば、太陽風の運動エネルギーを利用した宇宙推進(磁気プラズマセイル推進)が可能になるが、このようなシステムが実現可能かどうかについては議論が分かれていた。本研究では、惑星間を航行する磁気プラズマセイル宇宙機の推力特性と電磁流体現象を実験的理論的手法により解明し、その上で、磁気プラズマセイルの推力特性を把握した。まず、磁気プラズマセイル地上実験シミュレータにて、磁気プラズマセイルのスケールモデル実験を実施した。この実験では、太陽風プラズマを模擬した水素プラズマジェット中に電磁石と高密度プラズマ源を設置し、電磁石のみを設置した場合の磁気セイルの推力(F_mag)と、これら全てを動作させた磁気プラズマセイルの推力(F_MPS)とを評価し、最大1.9の推力増倍率(F_MPS/M_mag)が得られた。よって、磁気プラズマセイルの原理実証実験に初めて成功した。また、磁気プラズマセイルの宇宙空間での動作を想定した電磁流体、イオン粒子、ならびに全粒子の各数値シミュレーションを様々な仕様の電磁石について実施し、電磁流体モデルでは3程度、イオン粒子/全粒子モデルでは5~10程度の推力増倍率を得た。以上の実験ならびに理論研究は、人工的な磁気圏を膨らましながら深宇宙を航行する磁気プラズマセイルの原理を確立した初めての成果である。最後に、得られた推力特性に基づき木星以遠の深宇宙探査機の概念設計を実施したところ、磁気プラズマセイルの実用化に先立ち、宇宙機搭載用電磁石の軽量化や推力増倍率の向上が必要であることが解り、これらは今後の課題として残った。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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