風レンズという集風技術を有する高効率な中型風レンズ風車の基礎研究を行った。レンズ構造体の適切な選択のための風洞実験、数値解析を行い、中型レンズ風車の基礎設計を検討した。中型レンズ風車システムについては、小型風レンズ風車の相似形で拡大し、固定ピッチ、パッシブヨー制御は小型と同様な仕様にした。風洞実験、数値解析ではその有効性が実証できた。この研究開発と建設は、幸いに他の大型予算により実現可能となった。九大伊都キャンパスに100kWレンズ風車(定格風速12m/s)を建設し、稼働し始めた。しかし、当初予定していた洋上浮体用の浮体式支持構造までの検討はできなかった。同時に有効に風力エネルギーを得るために適切な風況予測技術を数値計算システムとして開発を進めた。レンズ風車の導入展開として海上浮体風力発電システムを実現した。本基盤研究では、浮体モデルを製作し、研究所所有の大型水槽で、耐波浪の実験を、レンズ風車模型2基を搭載して実施した。これで浮体プラットホーム式風力発電の有効性、安全性、性能評価を検討できた。これも幸いに、他予算で大きな研究経費がついたので、本研究で基礎研究していた技術をそのまま活かして、実際の小型海上浮体としてのエネルギーファームに実現できた。博多湾内の海上に世界で初めて本格的な浮体を建設し、その上部に3kWレンズ風車2基と太陽光パネル1. 5kWからなるエネルギーファームを建設し、動揺、波浪、気象、発電量、浮体変化など種々データを取得中である。ただし、当初予定していた次世代炭素繊維ロッドの製作が間に合わなかったので、製造したコンクリート浮体のトラスの筋材は、従来の鉄筋とした。
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