研究概要 |
本研究では、バイオマス、低石炭化度炭の水熱処理とその改質炭、改質液に関して詳細な分析をおこなうとともに、更なる有効利用法について検討した。バイオマスでは、遊離糖、ヘミセルロース、セルロースの順で分解されるが、特に200℃水熱処理の改質液中にはキシロース,酢酸,フルフラールが定量された。種々の樹脂や溶剤として利用可能なフルフラールに注目し、活性炭による吸着分離の可能性について検討した。その結果、ある種の活性炭は、フルフラールの90%以上を吸着する一方,キシロースや酢酸をいずれも10%以下しか吸着せず,フルフラールの選択的な分離回収が可能であることを見出した。また、ヘミセルロース、セルロースの分解の進行に伴い、固体産物は炭素含有率、固定炭素量が増え、自然発火性が抑制された。バイオマスではチャー収率が改質固体産物ベースで上昇するものの、ガス化性には処理温度による違いは認められなかった。褐炭、バイオマスの改質固体産物の各種物性を検討した結果、芳香族炭素指数の上昇により疎水化がおこり、このことが主要因となって自然発火性、含水率低下などを引き起こすことが分かった。水分測定法の比較では、特に水分の多い褐炭やバイオマスでは、空気中乾燥減量測定法とヘリウム気流乾燥減量測定法が再現性の高い良好な結果を示した。300℃以上のカテコール含有改質液にケイ酸水溶液を反応させた後黄鉄鉱の表面処理を施すことで、鉄酸化細菌存在下においても黄鉄鉱の酸化溶解を抑制できることを明らかにした。改質炭の燃焼灰中に存在する未燃カーボンと高強度中空セラミックスの分離回収は、100kHz以上のアコーステックエミッション(AE)を用いた粒子移動モニタリングと風量制御による風力分級により可能であることを示した。
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