新たな加熱手段を整備、平衡解析の高精度化、電子温度測定、電子密度測定のチャンネル数増加等の高性能化を行い、非誘導維持プラズマの特性を調べた。 8.2GHz高周波源をTST-2トカマクに導入し、約10kWの入射パワーでプラズマ電流5kAのトカマク配位を生成維持に成功した。このプラズマの平衡は規格化圧力(ポロイダルベータ)が1より大きく、弱磁場側の開いた磁気面領域に有限の圧力、電流を持つことが特徴である。また波の入射方向を変えてもプラズマ電流等の放電波形は変わらず、圧力駆動が支配的である可能性が高いことがわかった。 周波数200MHzの高周波源およびコムライン型アンテナを用いて波による電流駆動の方向を制御した実験を行った。Co-drive時には最大15kA、Counter-drive時は最大5kAのプラズマ電流を駆動し、球状トカマク配位の生成維持に成功した。軟X線、硬X線放射の測定から、Co-drive時には、閉じ込め時間の短い高速電子がプラズマ電流のかなりの部分を担っていることがわかった。一方、Counter-driveの時は、高速電子ではなく、圧力駆動が支配的である可能性が高いことがわかった。これらのプラズマの平衡では規格化圧力が1程度であり、Co-driveとCounter-driveには、明らかな特徴の差はなかった。また、開いた磁気面領域に有限の圧力、電流を持たない、もしくはそれらが非常に小さいことがわかった。より効率のよい波による電流駆動を目的に導波管型アンテナを設置し、実験を開始した。 圧力駆動電流を実証するためには、平衡解析の精度を向上させるとともに、非等方圧力を測定するためのトムソン散乱計測の改造を行い、誘導で維持された高密度プラズマで非等方圧力の測定精度を確認した。
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