研究課題/領域番号 |
21246141
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
相良 明男 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (20187058)
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研究分担者 |
室賀 健夫 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (60174322)
長坂 琢也 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (40311203)
田中 照也 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (30353444)
菱沼 良光 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (00322529)
近藤 正聡 東海大学, 工学部, 講師 (70435519)
後藤 拓也 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (30509518)
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キーワード | 溶融塩ブランケット / 強制循環ループ / Flibe / Flinak / 燃料回収 / 熱交換器 |
研究概要 |
溶融塩ループ装置"Orosh^2i-1"に関して、遠心ポンプの振動抑制軸受けベアリングの改良、温度等測定センサーおよびデータ収集系の整備を行い、本体の製作を完了した。ループ内に溶融塩FLiNaK(融点:454℃)の固体粒3リットル分を装填し、550℃までの昇温試験を実施した。測定窓からの液面目視、及び流量計の指示値から、ループ全周にわたるFlinackの融解と長時間の液体状態の保持を確認し、遠心ポンプの機能試験を開始した。 高温Flinakから水素回収を行うために純Ni管を用いて製作した二重管構造の水素回収モジュールについて、He希釈水素ガスを用いた性能試験を実施した。配管部を380℃まで昇温した際の水素透過速度は、純Ni板材の文献値の1/10程度となり、二重管構造の温度分布制御の改善が必要であるが、特に、水冷電気絶縁フランジ構造が正常に機能しており、これにより、Flinak中においてステンレス配管のFeが電気化学腐食により溶解し、Ni水素回収管の表面に析出するのを防ぎ、長期間の水素回収が可能になると考えられる。 水素溶解特性研究については、バックグランドを定量する目的で、ループ内ガス成分を回収ガス分析装置に接続して分析し、極低濃度のHFが発生している可能性がある他には、高温Flinakに起因する成分は検知されないことを確認した。 ループからの水素透過抑制を目的としたEr_2O_3セラミック被覆の試作については、被覆焼成における温度・酸素濃度条件の最適化を図るとともに、熱サイクルによる機械強度の劣化がないことを確認した。また、Li_3Nを溶解させ溶融塩FLiK中において、電気化学法によってステンレス基板表面にCrN被覆を生成することに成功し、配管腐食抑制および水素透過抑制被覆として、本ループ装置における試験の検討を開始した
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ計画通り進展しているが、溶融塩Flinakは潜熱が大きいことから、ループ内の固体Flinakを溶融させる際に、加熱ヒーターに負荷がかかり断線が頻発したため、熱回収部模擬試験の開始が若干遅れている。技術的な課題であり、加熱系の増強を行った上で、H24年度に実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
H24年度、ループ加熱系の出力を向上させて長時間の流動試験を可能にする。高温溶融塩循環用に改造したポンプの動作についての詳細評価を行い、ポンプ回転数と流速の関係等、溶融塩の流動制御に関する基礎データを取得する。また、特にFlinakへの水素導入と溶解度測定、および、セラミック被覆による高温金属配管からの水素透過抑制に関する試験を重点的に実施する。熱回収模擬試験については、チラーを用いた熱除去の模擬を行い、ループ内の温度分布測定および制御に関する研究を行う。
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