本年度は、平成21年度に入手した実ウラン触媒およびその特性評価に基づいて作製方法を完成させた模擬触媒に担持されたウランをアンチモンに対して選択的かつ定量的に回収するための条件を最適化し、技術を確立するための研究を行った。 (1) アンチモン回収条件の最適化 平成21年度の研究成果により、廃触媒からのアンチモンの回収方法としてホウケイ酸ガラス分相法と塩化揮発法の2方法について原理実証を行うとともに、必要とする熱エネルギーと材料物質量の観点から後者が優れていることを確認している。更に、塩化揮発温度について最適値の検討を行った。このため、平成22年度は、操作温度に加えて、ガス組成である酸素分圧と塩化水素分圧の最適化を行い、アンチモン回収率(除去率)のさらなる向上を図る条件を探索した結果、平成21年度までに得られた回収率を上回る92%の除去率が得られた。 (2) ウラン回収条件の最適化 平成21年度の研究成果により、リン酸トリブチルと硝酸の錯体を含む超臨界二酸化炭素を媒体として使用して溶解抽出を行うことにより、廃触媒からウランを93%の回収率で回収できることを確認している。平成22年度は、溶媒組成の最適化によってウランの回収率を97%に高めることに成功した。成果の一部は5月にオーストリアで開催される超臨界流体の専門的国際会議にて公表して、専門分野でのコメントや評価を受けるとともに。更に、8月および3月に米国で開催された放射性廃棄物に関する国際会議にてこれまでの成果を纏めて発表して国際的な情報発信を行った。
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