研究概要 |
ヘテロクロマチン形成にはヒストン修飾酵素やそれを認識結合するタンパク質群の他にRNAi関連因子、転写関連因子など非常に多くの因子が複雑なネットワークを形成している。研究代表者は分裂酵母をモデル生物として、ヘテロクロマチン因子の探索を遺伝学的、逆遺伝学的手法を中心におこなった。その結果、転写伸長制御に関わるタンパク質キナーゼ(Csk1,Lsk1,Mcs6)、転写伸長制御因子(FACT,Spt4)、転写メディエーターのコンポーネント(Med18,20)、基本転写因子TFIIH中の機能未知因子、ストレス応答に関わるキナーゼ(Wis1)、機能未知新規因子(Dsh1,Dog1,Dog2)などをヘテロクロマチン形成、あるいはヘテロクロマチンでの転写抑制に関わる因子として同定した。また、ヘテロクロマチン内での転写を活性化するEpe1が、ヘテロクロマチン形成そのもに関わることを見いだし、ヘテロクロマチン動的制御の鍵となる因子で有ることが予想された。今後これらの各因子の機能及び相互の関連について解析を進める。 分担者の田中はこれらの因子の相互作用を検出するためのYeast Two hybrid法の系を構築を試み、効率のよいシステムができつつある。特にヘテロクロマチン形成にかかわるRNAポリメラーゼIIの相互作用因子の探索をこころみたが、通常の方法では機能しないため、新規システムの構築をおこない、スクリーニングの準備が整った。
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