研究課題/領域番号 |
21247006
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
辻 瑞樹 琉球大学, 農学部, 教授 (20222135)
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研究分担者 |
立田 晴記 琉球大学, 農学部, 准教授 (50370268)
中丸 麻由子 東京工業大学, 社会理工学研究科, 准教授 (70324332)
久保田 康裕 琉球大学, 理学部, 准教授 (50295234)
酒井 一彦 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (50153838)
鈴木 準一郎 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (00291237)
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キーワード | 生態学 / 群集 / 生活史 / 進化 / 撹乱 / 社会性昆虫 / 植物 / サンゴ |
研究概要 |
本研究は、一旦定着したら移動性に乏しい超個体という共通の特徴を持ち、かつ生物多様性と生態系サービスの維持のための鍵となりうる生物分類群、アリ、シロアリ、サンゴ、クローナル植物が、環境撹乱にどう適応しているのかという視点を切口に、群集生態学と社会生物学を生活史戦略理論の観点から統合再構築することを目的とした。本年度は、前年度に構築された超個体の分割比と拡散距離のトレードオフに関するコロニーベースモデルの一般バージョンを平衡点安定性解析に関する定理を用いて、環境撹乱下における「近傍分巣対遠隔分散」の生活史モデルの詳細な解析を行った。平衡点の安定性条件の結果から、撹乱そのものは従来の生態学の定説どおり1:3遠隔分散戦略を有利にするという結果が得られた(投稿論文を作成中)。また、Nakamaru et al.(2007)では想定されていなかったコロニー間に干渉的な相互作用がある場合についても解析を行い、撹乱下でコロニーの分割比や拡散距離においていかなる戦略が有利になるのか検討した(生態学会大会で発表)。以上のように一般モデルの構築という当初目的はほぼ達成された。並行し、これらモデルの予測を実地に検証すべく、撹乱が生活史各ステージに与える影響を、沖縄のサンゴ礁(枝状サンゴ)、沖縄のイタジイなどの樹木、沖縄にすむ外来アリ類、シロアリ類、本州の多年生の草本植物であるイタドリを材料に、フィールド調査、操作実験、分子マーカーによる解析を行った。その結果、撹乱の生活史パラメーターに与える影響は分類群毎に様々であり、アリを想定した特殊モデルを他の生物にそのまま適用できないが、上記一般モデルを参照に分類群による適応進化のパターン幾つかに類型化できる可能性が示された。なお、H23年度は最終年度でもあり、本課題関連テーマで日本生態学会大会と個体群生態学会大会において外国人研究者を招聘し2つの国際シンポジウムを開催した。
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