研究課題
真核生物の大部分は、藻類とプロティストが占め、自然環境中で微生物食物連鎖網を介して緊密に相互作用し、地球生態系の重要な要素として機能している。しかし、これらのいわゆる真核微生物は、現在でも多くが未知の生物であり、分類、多様性、系統など基礎的な情報が極端に不足している。そこで、本研究では異なる知識と技術をもつ研究者が同一のサンプルを用いて、様々なアプローチ方法によって、そこに生育する真核微生物の存在を把握し、藻類・プロティスト複合系の多様性研究の基盤を構築とすることを目的としている。平成21年度は、藻類、プロティスト多様性を把握するための研究手法・技術開発とパイロット研究を中心に研究を実施した。1)フィールド選定サンプリングサイトの選定のために、東京湾(沿岸3ヵ所)、印旛沼、手賀沼、パラオ、西表などで採水を行い、光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡等を用いた形態観察によりその藻類・プロティスト相の概要を把握し、本研究の目的に合致するサイトであるか検討を行った。2)分子情報基盤の整備環境DNAの抽出条件、配列取得のための増幅プライマー、および分子情報の解析方法検討などを行った。3)オミックス解析マルチオミックス解析の手法を確立する目的で、実験室内のマイクロコズムを用いた測定手法の検討を行った。変性剤濃度勾配電気泳動法(DGGE)によるコミュニトーム解析と1HNMRによるメタボローム解析の結果、コミュニトーム・メタボロームそれぞれの解析においては、培養期間内における変化傾向の検出が可能となったが、両解析の相関に関しては擬陽性と思われるシグナルが検出されているため、引き続き条件検討を進めている。
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PLoS ONE 4
ページ: e4893
ぶんせき 7
ページ: 371-378