研究課題
細胞分化のエピジェネティックな継承は、DNA(CpG)メチル化とヒストンの翻訳後修飾(ヒストンコード)に担われる。これらのエピジェネティックマーカーは密接にリンクしている。このようなタンパク質問ネットワークを介したDNAメチル化とヒストン修飾間の双方向のリンクが、細胞のエピジェネティックスを成立させる。こういった背景のもと、本研究ではDNAメチル化の維持・継承と機能発現に必要な、(1)維持メチル化におけるメチル化酵素のローディング、(2)DNAメチル化とピストン修飾のカップリング、(3)メチル化DNA部位によって生じるミスマッチの認識、の分子機構を構造生物学的な観点から明らかにする事を目的とした。平成23年度は、維持メチル化に必須な因子であるUHRF1とヒストンとの相互作用の解析および機構の研究を進めた。UHRF1のtandem TUDORドメインーリンカー-PHDドメインとメチル化修飾されたピストンH3のN末端側tailの複合体の立体構造を既に得ていたので、その構造を基に詳細な結合様式の検討を行った。また、ITC等による両者の親和性の定量的な計測を行った。tandem TUDORドメインーリンカー一PHDドメインは、リンカー部分とtandem TUDORドメインとの密接な相互作用により全体として高次な立体構造をとること、ヒストンH3 tailも螺旋構造を形成して結合すること、等を示す結果を得た。また、リンカー部分の修飾によりUHRF1とピストンH3との相互作用が調節される可能性が示唆された。また、フルメチル化部位にもTG/mCGミスマッチ部位にも親和性を示すMBD4のDNA結合ドメイン(MBD)とDNAとの複合体の立体構造解析からMBD4 MBDの持つ広い結合選択性の構造学的基盤を明らかにした。加えて、MBDが水酸化されたメチル化部位に結合しうることを構造解析等を基に明白にした。
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Journal of biomolecular NMR
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