研究課題
本年度は、核内受容体と低分子との解析を進め、核内受容体であるestrogen receptor(ER)とvitamin D receptor(VDR)の新たなnon-genomic pathwaysを見出した。ERは転写因子であるKLF5に結合し、その活性をligand依存的に制御すること、VDRはSmadに結合しその活性を制御することを見出した。さらにERとVDRのgenomicな活性には影響を与えず、non-genomicな経路のみを制御する新たな化合物GS-1405とN-23の取得に成功した。N-23は、ERのantagonistとして働くと同時に、Smadの活性化も抑制し、それによって乳癌の増殖と転移の両方を強力に抑制できる化合物であり、乳がん治療薬につながると考えられる。また、GS-1405は、KLF5の転写活性をER依存的に制御することによって前立腺癌の血管新生を抑制し、前立腺癌の増殖を抑制することを明らかにした。また、核小体に局在し、細胞のエネルギー代謝を制御する剛Lについて遺伝子欠損マウスを作製し、解析を進めた。その結果、NML遺伝子欠損マウスではエネルギー消費が著しく亢進しており、高脂肪食を与えてもまったく太らないこと、さらに分解した脂質をエネルギーとして使用できないことが明らかとなった。現在、何故脂質を分解するにもかかわらずエネルギー生産に結び付けられないのかについて分子レベルの解析を進めている。
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