研究課題/領域番号 |
21247018
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木下 タロウ 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10153165)
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研究分担者 |
前田 裕輔 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (00294124)
村上 良子 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (00304048)
藤田 盛久 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (30532056)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | GPIアンカー / 遺伝子 / 酵素 / タンパク質 |
研究概要 |
1)GPIアンカーの脂肪酸リモデリングのメカニズムと生物学的意義の解明に関し、脂肪酸リモデリングに働くPGAP3遺伝子の floxマウスを作製し、CAG-Creマウスと交配し、全身でPGAP3をノックアウトしたマウスを得た。これらのマウスの中に、加齢とともに抗イムノグロブリン抗体を産生する個体が現れた。脾臓に胚中心を自然形成する個体、腎糸球体が大きくなり免疫複合体を沈着している個体も観察されたことから、脂肪酸リモデリングは、液性免疫系の恒常性維持に重要であることが明らかになった。そのメカニズムを検討したところ、腹腔マクロファージによるアポトーシス細胞の除去が有意に低下していること、Th2細胞への偏りがあることがわかった。さらに、Lck-Creマウス、CD19-Creマウスとの交配で、T細胞、B細胞だけで脂肪酸リモデリングが起こらないマウスを作製し観察したが、自己免疫個体は出現しなかったので、他の細胞での異常が必要であることが考えられた。 2)アルキルアシル型GPIアンカーの生合成機序とその意義の解明 アルキルアシル型GPIアンカーを作り出すGPI脂質リモデリングの反応において、アルキルグリセロールを含む供与体が何であるかを明らかにするため、1アルキル2アシルホスファチジルエタノールアミンの生合成に働くと考えられるCDP-エタノールアミン転移酵素遺伝子をノックダウンしたところ、GPI脂質リモデリングが低下した。おそらく、1アルキル2アシルホスファチジルエタノールアミンが供与体として働くと考えられた。1アルキル2アシルグリセロリン酸の脱リン酸酵素の候補と想定していた遺伝子をノックダウンしたところ、リモデリング自体に働く遺伝子であることが示唆された。 3)GPI-アンカー型タンパク質の構造変化と輸送に関わる遺伝子群の解明に関し、昨年度までに確立された輸送遅延変異株の性状解析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タンパク質GPIアンカーの構造変化の分子機構と機能との相関を明らかにするために設定している3つの研究項目のそれぞれが、概ね当初の予定に沿って進行している。
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今後の研究の推進方策 |
GPIアンカーのアルキルアシル型への脂質リモデリングを行う酵素の遺伝子を明確にし、ノックアウトマウスを作製し、解析することにより、アルキルアシル型GPIアンカーの生理的意義、とくに肢根型点状軟骨異形成症との関係を解明する。さらに、PI-アンカー型タンパク質の輸送遅延変異株の責任遺伝子をクローニングし、GPI-アンカー型タンパク質の構造変化と輸送に関わる遺伝子群を順次明らかにする。
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