研究課題
本年は、主に、以下の2点の研究をおこなった。【1】(1)タンパク質間相互作用に基づくナノ集合体と、(2)ラフト脂質間相互作用に基づくナノドメイン、の協同によって形成され働くメゾ複合体の形成機構を調べた。細胞外からの刺激が来る前の定常状態の細胞では、GPIアンカー型受容体は、特異的タンパク質間相互作用に基づくホモダイマーを形成し、それがラフト脂質間相互作用によって安定化されること(寿命が200ミリ秒程度)がわかった。【2】シグナル変換において、外部シグナルに対する応答の特異性には、タンパク質間相互作用は必須であるが、一方で、コレステロールや糖脂質の協同的ラフト脂質間相互作用は、どのような効果を持つかを調べた。その結果、細胞外からの刺激によって、GPIアンカー型受容体が大きな受容体クラスターラフトを形成することがわかった。これが、シグナル変換のプラットフォームになると考えられる。大きな受容体クラスターラフトは次の3ステップによって形成されることがわかった。【ステップ1】ラフト型受容体にリガンドが結合すると(おそらくは、それによって受容体の構造変化がおこり)、受容体のタンパク質部分での親和性が上がり、安定な2量体が形成される。【ステップ2】ラフト型受容体の安定な2量体が、脂質部分の相互作用によって協同的にコレステロールや糖脂質などのラフト脂質を濃縮する。【ステップ3】そうすると、ラフト脂質相互作用によって、別のラフト型受容体の安定2量体が結合し、大きな受容体クラスターラフトが形成される。
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Journal of Cell Biology
巻: 192 ページ: 463-480
Nature Methods
巻: 7 ページ: 865-866