研究課題
我々は、生細胞中での、分子の動き・相互作用・活性化を、1分子毎に手に取るように見える方法の開発に成功した。そこで本研究では、これらの方法を用いて、ラフト関与のGlycosyl-Phosphatidyl-Inositol (GPI)アンカー型受容体(GPIAR)のシグナル変換機構を明らかにすることを目的としている。昨年度までの研究で、我々が開発してきた1分子イメジングのための超高速カメラを用い、プローブを工夫することによって、1分子レベルでの分子会合検出法の改善が大幅に進んだ。そこで、これらの新しい方法に基づき、研究を進めた。(1)まず、外部刺激が来る前の定常状態の細胞で、GPIARの動態を調べた。その結果、調べた3種のGPIARは、タンパク質相互作用によるホモダイマーを形成し、さらに、ラフト脂質相互作用によって安定化され、GPIARホモダイマーラフトを形成すること、ホモダイマーラフトの寿命は200ミリ秒で、常に形成と分解をくり返していることが分かった(2)違う種類のGPIARのホモダイマーラフトは、ラフト脂質相互作用によって、ヘテロテトラマーラフトを形成することが分かった(もちろんホモテトラマーラフトも形成される)。寿命は、さらに短く、100ミリ秒であった。すなわち、ホモダイマーラフトはラフト脂質相互作用によって、大きなラフト(これらも短寿命)を形成する重要なユニットであることが分かった。(3)外部からのリガンド結合によって、ホモダイマーラフトが会合して、安定なシグナルラフトが形成されること、すなわち、ホモダイマーラフトは、シグナル変換の基本ユニットであることも示された。さらに、数理モデルを用いて、アクチン膜骨格によって仕切られた細胞膜で、全体としてのシグナルは変化しないのに、シグナルが局所的にバーストしながら、反応が進むことを示した。
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