研究課題
解糖系の阻害が大腸菌グルコーストランスポーター遺伝子(ptsG)の発現を転写後段階で抑制することの発見を契機とした一連の研究により、この制御にRNA結合タンパク質HfqとsRNAの1つSgrSが関与していること、SgrSはHfqを介してRNase E と複合体を形成しptsG mRNAとの塩基対形成により翻訳の抑制とRNase Eに依存したmRNA分解を引き起こすことなどを明らかにしてきた。本研究の目的は、①SgrSが標的であるptsG mRNAを特異的に認識する機構、②Hfqが塩基対形成を促進する分子機構、③SgrS/Hfq/RNase E複合体によるptsG mRNA分解の分子機構と生理機能、④代謝ストレスがSgrS の転写を誘導する機構に焦点を当て原核生物におけるsRNAによる遺伝子発現制御の原理を解明することである。昨年度までの研究から、sRNAのHfq結合モジュールの実体を解明した。すなわち、典型的なHfq結合モジュールは長いpolyU配列を持つターミネーターヘアピン とU-rich配列に先導された内部ヘアピン構造からなる。また、U-rich配列がターミネーターヘアピンの直前にある場合にはターミネーターヘアピンのみでHfq結合モジュールとして機能できる。平成24年度は、以下の点を明らかにした。1)Hfq結合モジュールとして効果的なpolyU配列の長さは8以上が必要である。2)polyU配列の一部の他のヌクレオチドへの置換してもHfq結合モジュールとしての活性は保持される。3)Hfq結合モジュールの上流に種々のmRNAの翻訳開始領域に相補的な配列を持つ人工的sRNAを利用した大腸菌における任意の遺伝子ノックダウン系の構築に成功した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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RNA
巻: 18 ページ: 1062-1074