本申請研究では、以下の3つの問題について明らかにしようとしている。 1、初期過程の再構成系の構築と反応機構解析(MRN-Nip1/Ctp1複合体の機能解析を中心に) 2、初期-中期過程の再構成系を用いた反応機構解析(リコンビナーゼの反応機構を中心に) 3、中期-後期過程の再構成系の構築と反応機構解析(Fbh1ヘリケースの機能とその制御機構を中心に) 当該年度は、特に、2について、特段の成果を得た。すなわち、減数分裂特異的Dmc1リコンビナーゼの反応機構を解析し、Holliday構造形成能を世界で初めて発見した。Dmc1のHolliday構造の形成とその分岐点移動反応は、Rad51の場合とは逆で、RecAタイプであることを示した。これにもとづき、減数分裂期のダブルHolliday junctionの形成と交叉型組換えの形成機構のモデルを提示し、Genes & Development誌に発表した。また、Swi5-ΔN180 Sfr1の結晶の作成に成功した。これにより、Swi5-Sfr1複合体によるリコンビナーゼ活性化機構の分子レベルでの理解に長足の進歩を遂げることができた。 1については、Ctp1(別名Nip1)タンパク質の多量発現系を構築し、高純度タンパク質の精製系の確立に成功した。また、Ctp1のDNA結合活性を見いだしている。これは、Ctp1において世界で最初の生化学的な活性の検出となる。また、Nbs1の発現系を構築した。今後、Nbs1とCtp1の物理的相互作用について解析することが可能となった。3については、Fbh1ヘリケースの試験管内ユビキチン反応系のキャラクタリゼーションを行い、反応の特徴を明らかにした。
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