研究課題
MPF(maturation/M phase-promoting factor、卵成熟/M期促進因子)は真核細胞に普遍的なM期誘起因子であり、cyclin B-Cdc2/Cdk1複合体(Cdc2と略記)と同義であるとされている。しかし実際にはそうではなく、MPFは、Cdc2とGreatwall kinase(Gwl)の両者によって構成されること(MPF = Cdc2 + Gwl)を、初年度の研究により明らかにした。そこで本年度は、引き続きGwlの機能と役割を解析し、以下の点が判明した。1.GwlはEnsa/Arpp19を直接リン酸化し、それによりPP2A-B55が抑制されて、Cdc2が活性化するとされている。他方、ヒトデ卵では、Gwl無しでも、Cdc2は正常に活性化する。その理由を解析したところ、Cdc2はEnsa/Arpp19を直接リン酸化し(部位はGwlとは異なる)、それだけでPP2A-B55が抑制されることが判明した。しかし、Ensa/Arpp19は、そのリン酸化がCdc2単独の場合よりは、Cdc2とGwlの両者による場合の方が、PP2A-B55の抑制能が高かった。この差が、GwlがMPF活性に貢献している原因と考えられる。2.Gwl無しでCdc2が活性化した場合は、核膜崩壊はほぼ正常なタイミングで起こっても、その後の染色体の分離・分配が異常になると判明した。表現型としては、多極紡錘体の形成、染色体の集合化や分散、あるいは分裂後期移行に際しての染色体の不分離等が見られた。これらの原因としては、PP2A-B55の不十分な抑制と、Ensa/Arpp19以外のGwl新規標的が存在する可能性の両方が考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://www.cell-dev.bio.titech.ac.jp/home/index-j.html