研究課題
個体レベルでの生理機能の獲得と発揮には、各器官の個別のはたらきに加え、異なる器官同士が機能的なネットワークを形成する必要がある。そのためには、器官そしてそれを構成する細胞や組織が、体内で空間的に正しく配置されなければならない。本研究では、器官ネットワーク成立に関わる細胞の空間的配置のしくみの理解にむけて、それらを支える3次元環境内での細胞挙動とその調節機構の解析をおこなった。具体的には、末梢神経系(神経堤細胞:NC細胞)-血管系に焦点をあて、それぞれの組織成立に関わる細胞移動や両者間にみられるクロストークなどに注目し、細胞がどのようにして自分の空間位置を「知る」のかについて、その仕組みを解析した。NC細胞の中の交感神経系lineageが背側大動脈方向に移動する際、背側大動脈から分泌されるBMPによって惹起されるSDF1とNeuregulin1が誘引因子として働くことが明らかになった。次に、これらの細胞集団からさらに交感神経節と副腎髄質に分かれる際には、Neuregulin1が主な誘引活性をもつことがわかった(SDF1はこの活性をもたない)。さらにこれら後期Neuregulinの発現は、背側大動脈由来のBMPに依存的であった。これらのことからみえてきたことは、背側大動脈が中心となって空間ー時期特異的にさまざまなモルフォジェンを分泌/制御し、その結果としてNC細胞がある決まった場所へと移動するという新しい形態形成の概念である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Dev. Growth Differ
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