研究課題/領域番号 |
21248007
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
柳沼 利信 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (60135332)
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研究分担者 |
新美 輝幸 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教 (00293712)
池田 素子 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (20262892)
門野 敬子 独立行政法人農業生物資源研究所, 主任研究員 (40355722)
塩見 邦博 信州大学, 繊維学部, 准教授 (70324241)
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キーワード | カイコ / 胚休眠 / 休眠開始遺伝子 / 休眠覚醒 / 低温シグナル受容 / 低温シグナル伝達 / 低温誘導遺伝子 |
研究概要 |
カイコの胚休眠は休眠ホルモンが雌蛹期の発育卵巣に作用することで誘導されるが、実際休眠が開始される時期は産卵受精後の中胚葉形成完了の胚両端部が肥大した直後である。したがって、本課題では、休眠開始および5℃処理による休眠覚醒に係わる遺伝子を単離することを目的とする。 (1) 休眠開始遺伝子と考えられるpnd-1およびpnd-2遺伝子の単離をポジショナルクローニング法により進めた。 (2) pnd-1およびpnd-2の候補遺伝子の二本鎖RNAを初期の休眠性卵に注射し、非休眠化することに成功しているが、その非休眠化率の向上をめざし、pnd-2遺伝子に関しては50-60%の非休眠化まで高めることができた。 (3) pnd-1およびpnd-2遺伝子の発現解析を進めている。 (4) 食道下神経節を除去し、休眠ホルモン・シグナルを遮断した成熟(完成)卵と休眠ホルモン・シグナルを受容した完成卵において遺伝子発現の差異を網羅的に調査し、休眠ホルモン・シグナル受容卵で著しく発現が抑制される遺伝子を単離した。この遺伝子は、塩酸処理や5℃処理による休眠覚醒期に発現が回復することから、休眠ホルモン・シグナルと休眠開始遺伝子とを結ぶ可能性が考えられる。 (5) 5℃処理により発現が促進されるHsp70aおよびSamui遺伝子の5'-上流域にheat shock element (HSE)を見出した。これに結合すると考えられているheat shock transcription factor (HSF)遺伝子を単離した。 (6) Gel shift assayにより、HSFがHsp70aおよびSamui遺伝子のHSEsに結合することを明らかにした。 (7) 5℃シグナルは、HSFを活性化させ、Hsp70aおよびSamui遺伝子のHSEsに結合することで発現を促進していると考えられる。
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