研究課題
1.重金属超集積植物として知られているThlaspi caerulescensのカドミウムの高吸収に関与する遺伝子TcNramp1の発現解析を行った。その結果、TcNramp1は根と地上部の両方で発現し、その発現量は亜鉛欠乏や過剰処理、カドミウム処理に影響されなかった。またカドミウム集積の異なるエコタイプGangesとPrayonを比較すると、集積タイプのGangesでの発現が常に高かった。このことはTcNramp1がカドミウムの超集積に関与していることを示している。一方、イネの根において主なカドミウム吸収トランスポーターがOsNramp5であることを突き止めた。さらにOsHMA2が根から地上部へのカドミウムの輸送に関わっていることを明らかにした。2.世界のイネコアコレクション123品種を用いてケイ酸の吸収と亜ヒ酸、メチルヒ素の集積の品種間差を調べた。その結果、品種によってケイ酸の吸収能力は6倍、亜ヒ酸集積は3.2倍、メチルヒ素集積は7.0倍の差が見られた。またジャポニカ品種はインディカ品種よりケイ酸と亜ヒ酸の集積量が多い傾向を示した。メチルヒ素の集積には亜種間に差がなかった。ケイ酸吸収量と亜ヒ酸集積量の間に全品種を通じての相関は示されなかったが、ケイ酸吸収量の多い品種は地上部のヒ素濃度も高い傾向があった。ケイ酸吸収量とメチルヒ素の集積量との間にも相関は見られなかった。これらのことは地上部のヒ素の集積量はケイ酸吸収能力のみによって規定されず、他の因子も関与していることを示唆している。3.A1で処理したソバの根のEST解析から、発現量の高いトランスポーターの1つであるFelREG2について解析を行った。FeIREG2は鉄欠乏で誘導されず、Alによって発現が誘導された。また他の金属(Cd,La,Ni)には応答を示さなかった。この遺伝子は主に根で発現していた。FelREG2とGFPの融合遺伝子をタマネギ表皮細胞に発現させたところ、液胞膜に局在していた。FelREG2はA1や他の金属(Cd,Ni)の液胞への隔離に関与している可能性が考えられる。
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