研究課題
植物のもつ極めて多様な二次代謝産物、特に、その生理活性が顕著である含窒素二次代謝産物(アルカロイド)に焦点を絞り、代謝工学ならびに合成生物学的手法により、植物における二次代謝生合成系の分子解剖と再構築を行うことを目的に以下の研究を行った。I.合成生物学的手法を用いた多様なイソキノリンアルカロイド生合成系の分子解剖:大腸菌で再構築したドーパミンからレチクリンに至るイソキノリンアルカロイドの生合成経路に付加的に遺伝子を追加することにより、新規生合成酵素遺伝子のスクリーニングが可能であることを、マグノフロリン生合成系のCYP80G2遺伝子をモデルに実証した。II.包括的転写因子を用いたイソキノリンアルカロイド生合成系の解析:オウレンアルカロイド生合成系の包括的な転写制御因子であるWRKYならびにbHLHが実際に生合成酵素遺伝子のプロモーター領域に結合していることをGFPとの融合タンパク質の一過的発現系、あるいは、内在のbHLHを介したクロマチンの免疫沈降(CHIPアッセイ)により実証した。III.微生物異種発現系を用いたアルカロイド生合成系の再構成と代謝工学:前述のドーパミンからレチクリン生合成系を構成する0-メチル化酵素の反応特性をキメラ酵素を用いて詳細に解析し、キメラ化により新たな反応特性を獲得していることを明らかとした。IV.新規アルカロイドの生理活性評価線虫においてベルベリンが脂質蓄積を抑制する分子機構を解析するために、ベルベリン処理した線虫のマイクロアレー、ならびにRT-PCR解析を行い、解毒酵素遺伝子の発現が誘導されていること、また、脂質関連遺伝子の発現に有意な変化があることを明らかにした。
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化学と生物 47(8)
ページ: 428-430