研究課題
1.アブラナ科の自家不和合性機構の解明昨年度構築した系により乳頭細胞内外のCa^<2+>濃度を詳細に解析し、自家不和合性の情報伝達系にCa^<2+>制御系が関与することを明らかにした。また、チューリッヒ大学、東北大学との共同研究により、アブラナ科のモデル植物のArabidopsis thalianaが、約41万年前に花粉因子SPll遺伝子の逆位により自家不和合性を喪失したことを明らかにした。さらに、この変異を野生型に戻したSPllを導入することにより、A.thalianaが自家不和合性を再獲得することを証明した。自家不和合性の情報伝達系に関わる因子の探索を目的として、自家不和合性を付与したA.thaliana株を変異原処理し、自家和合性への復帰突然変異株を探索した。複数の候補株を取得し、現在変異部位の特定に向けた準備を進めている。本年度はさらに、花粉因子SPll対立遺伝子間の優劣性の原因について解析を進めた。その結果、優性側対立遺伝子近傍で生成される低分子RNAにより、劣性側対立遺伝子のプロモーター領域がdenovoメチル化を受け、発現が抑制されることを発見した。2.ナス科植物の自家不和合性機構の解明ナス科植物ペチュニアのS遺伝子座上に少なくとも6種類の多型性を示すSLF遺伝子が存在し、花粉で特異的に発現していることを明らかにした。網羅的な形質転換実験により、それらの内少なくとも3種類が、花粉因子として機能していることを証明した。さらに、花粉因子として機能するSLFは、特定の非自己S-RNaseと特異的に結合することを共沈実験により証明した。以上の結果をもとに、複数の花粉因子が共同で非自己S-RNasesの解毒にあたるとする協調的非自己認識モデルを提唱した。
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