研究課題
本研究は,アルツハイマー病の原因物質である42残基のアミロイドβタンパク質 (Aβ42) の毒性本体と考えられるオリゴマー (2-4量体) の特徴的な構造に基づき,毒性オリゴマーを特異的に認識する抗体や,その形成を阻害する低分子化合物の開発を目的としている.本年度は,最近開発に成功した抗毒性オリゴマー抗体 (11A1) のAD診断への応用と毒性オリゴマー形成を阻害する低分子有機化合物の作用機構に関する研究を行った.本研究代表者らは,11A1がAD患者脳抽出液中のAβの毒性オリゴマー(3量体)と選択的に反応することを見いだしている.そこで,AD患者の脳脊髄液を用いた11A1による新しいAD診断法の開発に向けた予備実験を行った.具体的には,抗毒性オリゴマー抗体 (11A1) を固相に,Aβ42のN末端抗体である82E1を液相に用いたサンドイッチELISAを作製し,人工的に調製したAβオリゴマーに対する反応性を検討した.その結果,11A1は固相よりも液相に用いた方が有効であることが示唆された.シリマリン中に含まれるタキシフォリンは,B環にカテコール構造を持つフラバノノールである.昨年度,タキシフォリンの自動酸化によって生じたオルトキノン体が,Aβ42の16番目のリシン残基によってマイケル付加を受けることにより,Aβ42の凝集を阻害していることを示唆する結果を得た.今年度は,Aβ42のβシート形成を顕著に抑制する非カテコール型フラボノイド(カンフェロール,モリン,ダチセチン)に着目し,それらの作用機構を解析した.その結果,これらによる凝集抑制には,Aβ42のリシン残基は関与していないこと,一方で,13,14番目のヒスチジン残基から始まるβシート領域と相互作用していることが,2次元NMR法 (HSQC) により明らかになった.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件) 備考 (1件)
J.Biol.Chem
巻: 288 ページ: 23212-23224
10.1074/jbc.M113.464222
Biosci. Biotechnol. Biochem.
巻: 77 ページ: 1100-1103
10.1271/bbb.120925
Biochem. Biophys. Res. Commun.
巻: 438 ページ: 1-5
10.1016/j.bbrc.2013.05.106
http://www.orgchem.kais.kyoto-u.ac.jp/