研究課題
1.21年度に引き続き、(1)高山サイトにおけるミズナラとダケカンバの個葉の光合成・呼吸特性を測定してパラメータ化するとともに、(2)平成21年度に測定した個葉データを用いてNCAR-LSM生態系モデルにより2009年の森林生態系スケールでの光合成速度のモデリングを行った。また2010年の光合成速度のモデリングの準備を進めた。2.ブナにゴールを作り、広い範囲に分布する昆虫であるブナカイガラタマバエを調査対象種として選定し、その遺伝的変異を調査すべく、各地で採取したサンプルのDNAを収集した。また当該種の遺伝分析用マーカーの開発を進めた。3.ブナの温暖化応答を明らかにするために,ブナの北限とされている黒松内町においてブナ成木林の樹冠(枝)と林床(地中)の温暖化操作(周囲+5℃)を継続した。定点カメラによるフェノロジー観察では,地温上昇による約5日の黄葉の遅延,枝加温による1~2日の展葉早期化および8日程度の黄葉遅延が確認された。4.中川研究林において、遷移初期種であるダケカンバの温暖化に対する応答をみる野外での大規模操作実験を行った。(1)枝温暖化により春の展葉は5日程度早くなり、秋の落葉は10日程度遅くなった。温暖化は着葉期間が長くさせることを示唆している。(2)枝温暖化は8月の長枝長を増加させ、長枝と短枝の両方の葉サイズを増加させたことから、温暖化はダケカンバの成長を促進させることを示唆している。(3)また枝温暖化は6月と8月の食害度も増加させた。5.苫小牧では土壌の温暖化処理によって冬季の土壌凍結が起こらないことから、凍結時に起こる土壌有機物の分解・窒素無機化が起こらないなど、土壌中の窒素動態が大きく変化していた。この結果は、土壌凍結が卓越する高緯度地域の窒素循環が温暖化にどのように応答するかを予測する上で重要である。
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