研究課題/領域番号 |
21248023
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
近藤 隆一郎 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (80091370)
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研究分担者 |
平井 浩文 静岡大学, 農学部, 准教授 (70322138)
亀井 一郎 宮崎大学, 農学部, 准教授 (90526526)
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キーワード | 木質バイオマス / バイオエタノール / 木材腐朽菌 / 分子育種 / 新規セルラーゼ / メタゲノム / 森林微生物 |
研究概要 |
(1) 糖化前処理工程用微生物の作成 高活性リグニン分解菌Phanerochaete sordida YK-624株リグニン分解時に特異的に発現しているタンパク質のプロテオーム解析を行ったところ、分子量35kDa・pI6.4のタンパク質の高発現を観察した。本タンパク質の同定を試みたところ、アルコールデヒドロゲナーゼであることが示唆された。また広葉樹未晒クラフトパルプ残留リグニン分解時に特異的に発現しているタンパク質のプロテオーム解析を行ったところ、主にリグニン分解酵素の産生が認められた。一方、これらと同時に本菌由来5-アミノレブリン酸シンターゼ、1,4-ベンゾキノンリダクターゼ遺伝子の取得にも成功した。木材腐朽菌キチリメンタケの形質転換系の構築を試み、プロトプラスト生成後、PEG法により形質転換が可能であることが示唆された。 (2) 酵素糖化工程用多糖分解酵素の開発 日本の代表的な針葉樹であるスギ・ヒノキ腐朽材より得た糸状菌株のスクリーニングを行い、セルロース分解能の高い菌株の単離を行った。針葉樹腐朽材より採取した試料を、唯一の炭素源としてスギ木粉を含んだ選択培地上に接種し、生育した菌の単離を行った。さらに、得られた菌株を針葉樹クラフトパルプ上に接種し、一定期間培養後、パルプ重量減少率を測定し、既知の木材腐朽菌ならびにセルラーゼ高産生菌であるTrichoderma reesei数株と比較することで、より高い重量減少率を示す菌株を選抜した。その結果、針葉樹パルプ重量減少率の高い菌株を複数取得し、T. reeseiよりもCMCアーゼ活性の高い菌株を複数選抜した。 (3) 未探索の遺伝子資源から新規多糖分解酵素群をスクリーニングするために、自然環境より二つの試料を採取し環境ゲノムを抽出し、これを用いてメタゲノムライブラリを構築した。今後多糖分解酵素のスクリーニングに供する。
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