研究概要 |
(1)糖化前処理工程用微生物の作成 高活性リグニン分解菌Phanerochaete sordida YK-624株をベースとして、5-アミノレブリン酸シンターゼ(ALAS)遺伝子恒常発現のマンガンペルオキシダーゼ(MnP)生産に及ぼす影響について検討したところ、ALAS遺伝子恒常発現株ではMnP産生量が増加することが判明した。また、木材腐朽時に高発現しているalcohol dehydrogenase遺伝子プロモーターを用いて、MnPを木材腐朽時に高発現する菌を作出し、そのリグニン分解特性を評価したところ、得られた形質転換株全てにおいてリグニン分解能の向上が認められ、特にリグニン分解選択性が飛躍的に向上することが判明した。 (2)酵素糖化工程用多糖分解酵素の開発 21年度にセルロース高分解性糸状菌として選抜されたPestalotiopsis属およびArthrinium属菌より粗酵素液を調製し各種酵素活性を測定した.その結果,Trichoderma reeseiよりもタンパク質量あたりのFPase活性が高いことが示され,高機能なセルラーゼを産生していることが示唆された.また,培養基質としてアビセルではなくスギ木粉を用いた場合に、Arthrinium属菌はより高いFPase活性産生能を示すことが見出された. (3)メタゲノムライブラリー 土壌中微生物の環境DNAより作成したメタゲノムライブラリよりも、セルロースなどを用いて短期間の集積培養を行った培養系より得た環境DNAを用いてライブラリを構築する事により、より高効率に多糖分解酵素が獲得できることを見出した。結晶性セルロースあるいはパルプを用いた集積培養系から、少なくともセルラーゼを4種、キシラナーゼを2種獲得できた。
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