研究課題
イボニシRXRに関する生物学的特徴と、ペニス及び輸精管の分化・成長・形態形成との関係を解析する一環として、RXRサブタイプ及びその他の核内受容体の探索を行った結果、イボニシRXRにはバリアントが2つ存在することがわかった。これらの配列を用い、reporter gene assayを行った結果、9-cisレチノイン酸(9cRA)に対する転写活性を示した。この系を用い、トリブチルスズ(TBT)及びトリフェニルスズ(TPT)での転写活性を測定したところ、いずれの有機スズを用いた場合でも9cRAと概ね同等の転写活性を示すことが明らかとなった。また、ほ乳類のRXRを用いた研究より、生体内に存在しRXRのリガンドとなりうる物質として、ドコサヘキサエン酸(DHA)が知られているが、今回の系でDHAを用いた場合ではほとんど転写活性が見られなかった(但し、高濃度のDHA(10^<-4>M)では細胞毒性が出るため、転写活性は測定不能)。また、イボニシRXRの特異抗体を作製し、immuno-blotting等により検討した結果、抗体価が高く、イボニシRXRを特異的に検出することを確認した。また、イボニシ組織を用いたwestern blotting及び免疫染色法で、組織中のRXRタンパクも認識した。さらに、イボニシからRAR類似配列の部分断片を得ており、全長のクローニングに向けた検討を進めている。一方、イボニシ神経ペプチド前駆体遺伝子を新たに7種クローニングし、前駆体蛋白質の一次構造を明らかにした。イボニシにおいても多種多様なペプチドが協同して生理機能を制御することが示唆され、イボニシの神経系における神経ペプチドの構造と機能が当初の想像以上に複雑で多様なものであることがわかった。クローニングした前駆体遺伝子の神経系における発現細胞をin situ hybridization法により明らかにした。
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