研究課題/領域番号 |
21248029
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
福井 清一 京都大学, 農学研究科, 教授 (90134197)
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研究分担者 |
浅見 淳之 京都大学, 農学研究科, 准教授 (60184157)
不破 信彦 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (90302538)
マハラジャン ケシャブ 広島大学, 国際協力研究科, 教授 (60229599)
宮崎 猛 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (50115945)
藤田 幸一 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (80272441)
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キーワード | 貧困削減プログラム / リスク・シェアリング / 信頼 / 地域資源 / 社会関係資本 |
研究概要 |
昨年度は、インドネシア、カンボジア、フィリピン、インド、ネパール、中国において、貧困削減、貧困緩和のためのプログラム、および、それと関連した、インフォーマルな制度・慣行の実態と、それらの貧困削減・緩和への効果とメカニズムについて、調査・研究を実施した。主要な研究成果は、以下のとおりである。 1.インド・タミルナードゥ州で実施されているSHGの貧困削減効果について調査を実施し、加入率が高く融資が農業や家畜の購入に利用されていることから、ある程度の効果は認められるものの、最貧困家計への影響は不透明であることが明らかとなった。 2.インドネシア・中部ジャワ農村地帯の分益小作慣行が、従来の、期待効用仮説に依拠した分益小作に関するリスク・シェアリング仮説では説明できないことを明らかにし、プロスペクト理論にもとづく理論仮説の方が、ジャワ農村の現実を、より良く説明できることを、フィールド実験の結果を用いて実証した。 3.カンボジア・タケオ州において、村レベルでの募金活動(困窮者扶助のための)に関する聞き取り調査を実施し、多くの村で募金者の名前を記録していること、および、誰でも支援対象となっていることから、人々が募金に参加する主な動機が、利他心よりは、将来の返礼も期待して、すなわち、互酬にあることが明らかとなった。 4.インドネシア・中部ジャワ農村において観察される"ROSCA"の実態を、最貧困層の社会的ネットワーク、危険回避性向という視点から説明を試み、最貧困層への融資に関して、相互扶助的ネットワークの貢献よりも、貧困家計のリスク回避度が、大きな影響を持つことを明らかにした。 以上のほか、以下で示すように、多くの研究成果が得られ、一部は、雑誌論文、学会報告などの形で、すでに公表されている。
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