研究課題/領域番号 |
21248030
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 和彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (10354044)
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研究分担者 |
佐々木 治人 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (60225886)
山川 隆 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (20134520)
寺島 一郎 東京大学, 理学系研究科, 教授 (40211388)
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キーワード | オゾン / イネ / コムギ / 光合成 / アポプラスト / 活性酸素 / アスコルビン酸 / 収量 |
研究概要 |
中国の開放系オゾン暴露実験で、コムギ4品種の収量に及ぼすオゾン濃度上昇の影響を調べたところ、4品種ともオゾン濃度上昇で減収すること、減収の主な要因が粒重の低下にあることが分かった。 収量の減少に有意な品種間差は無かったが、粒重の低下には有意な品種間差がみられたことから、オゾンによるコムギの減収には品種間で違いがあるものと考えられた。こうしたコムギの減収を葉の気孔を経由したオゾン吸収量と関係づけるためのモデルを開発し、従来よりも良く減収程度を表せることが分かった。中国での開放系オゾン暴露実験では、この他に、オゾン濃度上昇によってコムギの倒伏が激化することが示された。 オゾンは光合成機能に影響するので、特に光合成の明反応に注目して分子生物学的解析を行った。 反応中心であるD1/D2タンパク質を調べたところ、オゾン曝露により遺伝子発現量が有意に減少したが、D1タンパク質量に有意な変化は見られなかった。 光合成における外気から葉緑体までのCO2拡散は、気孔コンダクタンスと葉肉コンダクタンスに制御されている。これらは環境に応じて変化するがその変化の方向が一致する場合が多い。特に乾燥ストレス下では、両コンダクタンスとも低下する。乾燥ストレス条件下における気孔の閉鎖にはABAが関与することが知られている。ABA合成能力を欠くタバコの変異体を乾燥条件にさらしても、気孔の閉鎖がみられず、葉肉コンダクタンスも低下しなかった。この変異体にABAを与えると、気孔が閉鎖し、葉肉コンダクタンスも低下した。これらの結果から、ABAが葉肉コンダクタンスの制御にも関与しているものと考えられた。
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