研究概要 |
卵子の体外成熟・体外受精・体外培養法(in vitro maturation, in vitro fertilization, in vitro culture, IVMFC)の中核をなす未成熟卵子体外成熟 (IVM)法の飛躍的改良を目指し、未成熟卵子の微小器官(ギャップ結合、核膜、染色体、小胞体、紡錘体、ミトコンドリア、表層顆粒など)に焦点を当て、その制御因子を同定し、それらの発現調節による受精能・発生能高発現卵子の生産法を開発することを目指して展開した。 本研究において、核膜と染色体の動態制御因子を検索し、AktがLaminBをリン酸化することにより核膜の崩壊と第一減数分裂中期への移行に重要な役割を果たしていることを明らかにした。また、このタイミングでmTORのリン酸化とそのバインディング・パートナーであるraptorが機能し、これらの現象をサポートしていることを明らかにした。平成23年度までの研究により、第二減数分裂中期の卵子の紡錘体形態がその後の受精・発生能に影響することを明らかにしているが、その後の研究により、紡錘体形成に関わる微小管の安定性・不安性のバランスが重要であり、特にCLIP-170の発現が高い卵子で受精・発生能力が高くなることを明らかにした。さらに、ミトコンドリアの局在化と受精後の卵割に着目して、その局在の詳細な解析を進め、局在化レベルと発生率には相関があることを明らかにした。培養液組成で、この局在化程度は異なるため、ミトコンドリアの局在化が培養系の適切度を評価する基準になり得るものと考えられた。
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