研究課題
サンガー法と次世代シークエンサーによるゲノムショットガン解析でTheileria orientalis Chitose株のゲノム解析に着手した。ほぼゲノムの全領域(9メガベース)をカバーするコンティグが得られ、ギャップクロージングを残すのみとなった。良性タイレリア種であるT.orientalis(Ikeda株)と強病原性でリンパ球不死化能のあるT.annulata/parvaとのゲノム、遺伝子比較を実施し、それぞれにユニークなオーソログ遺伝子群を拾い上げた。さらにグラスゴー大学との共同研究により、それらの遺伝子を大腸菌で発現させ、組換えタンパク質に対する抗血清を作製し、リンパ球ステージ(シゾント)での発現と局在を検討した。これとは別に、ゲノム比較の結果見いだされたT.parvaシゾント期に発現されるアクチン結合性について宿主細胞の増殖性に及ぼす影響を検討した結果、本分子がアクチンに結合することを確認、さらに強制発現によるNFkbの活性化が観察されたことから、感染による宿主細胞のアポトーシス耐性に本分子が関わっていることが明らかになった。抗腫瘍活性のある化合物パネルを用いて、シゾント感染細胞に対する作用をスクリーニングした結果、いくつかの化合物が特異的に感染細胞の増殖を抑制することが明らかにできた。今後これらの化合物の作用点を検証し、タイレリア原虫による不死化機構をさらに解明する手がかりが得られると考えられた。
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J.Vet.Med.Sci. 71
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