研究分担者 |
梶田 真也 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40323753)
佐藤 かんな 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (40456603)
中村 雅哉 独立行政法人森林総合研究所, その他部局等, その他 (50353793)
高橋 惇 高砂熱学工業株式会社(総合研究所), その他部局等, その他 (60501369)
大塚 祐一郎 独立行政法人森林総合研究所, その他部局等, その他 (80455261)
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研究実績の概要 |
本年度の研究成果の第一は、(1)2,3,7,8-TCDDに対するGeobacillus sp. UZO3株粗酵素の還元開裂酵素活性が再現よく検出可能な反応条件の確立に成功し、放射性14Cラベル2,3,7,8-TCDDの還元開裂反応の検出に成功した事である。本研究によりこれまでのダイオキシン研究が明らかにしてこなかった2,3,7,8-TCDDの分解が、Geobacillus sp (UZO-3株)の無細胞抽出液により還元解裂される事を始めて明らかにした。 本年度の研究成果の第二は、Geobacillus sp. UZO3株の2,3,7,8-TCDDに対する還元解裂酵素遺伝子のクローニングと塩基配列の解読に成功した事である。昨年までにUZO3株ゲノムライブラリーより選抜したEcoRV-NheI断片に2,3,7,8-TCDDの分子内エーテル結合還元開裂活性がコードされていることが示された。本年度は、EcoRV-NheI断片にコードされた酵素遺伝子の構造解析を行い、Ndel1-Nhe1領域に存在する全長351bpを持つorf5遺伝子がコードする、116個のアミノ酸から成る酵素タンパク質が、CoAを補因子として2,3,7,8-TCDDや2,7-DCDDなどの塩素化ダイオキシンの2つのビフェニルエーテル結合を順次還元的に解裂する事を世界で初めて明らかにする事に成功した。本年度の研究成果の第三は、orf5の遺伝子断片を、大腸菌の高発現ベクターに連結した多コピー大腸菌プラスミド(pET:orf5)を導入した大腸菌を用いて、2,3,7,8-TCDD還元分解酵素の高生産を実現した。大量に調製された2,3,7,8-TCDD還元分解酵素は、熱安定性を持ち、その酵素反応活性は28℃でも十分発揮される事から、安定性の高い酵素として幅広く汚染土壌の塩素化ダイオキシンの分解除去に活用できる事が示された。
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