研究課題/領域番号 |
21249003
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
堀江 利治 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (90120154)
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研究分担者 |
設楽 悦久 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (00306656)
関根 秀一 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (70401007)
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キーワード | 薬学 / 放射線 / 臨床 / プロテオーム |
研究概要 |
C型肝炎などの慢性肝疾患時にも胆汁排泄輸送体のmRNA発現量は変化せずに輸送体の膜局在性の低下による胆汁うっ滞が報告されている。長期にわたる胆汁うっ滞は胆汁酸などの蓄積により、肝硬変・肝癌へと進行することから、その早期発見と治療法の確立は重要である。ヒトにおいてもC型肝炎の肝臓において鉄の蓄積が見られ、瀉血療法によりC型肝炎の進行を抑制することが知られていることから、肝臓での鉄の蓄積が酸化ストレスを増悪させていることが考えられたため、本年度においてはC型肝炎ウイルスコア蛋白質を発現しているヒト肝癌由来細胞株において、低濃度の鉄剤の負荷時におけるミトコンドリア機能に着目した検討を行った。その結果、コア蛋白質が発現している細胞株のミトコンドリア障害において低濃度の鉄剤の負荷に対する感受性がその非発現細胞よりも亢進していることが明らかとなった。また本研究においては肝臓の毛細胆管側膜に発現するBSEP(Bile salt export pump)の機能低下が及ぼす生体への影響について検討を行うことを目的として、Molecular Probe社の協力のもとハイコンテントスクリーニングを用いて、BSEPの内在化が肝障害の増悪因子となることが新たに明らかとなり、BSEP内在化という新規阻害機序により肝障害が惹起される可能性が明らかとなった。更に、ラット肝臓より単離したSandwich培養肝細胞において、胆汁酸の蓄積に依存した肝毒性を評価するためのスクリーニング系の構築を行い前検討において内在化を惹起する化合物において検討を追加した結果、胆汁酸の蓄積に依存した肝障害の増悪が確認され、内在化に伴う胆汁酸の蓄積が、肝障害の増悪因子となることが本研究の遂行により明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究の遂行により、C型肝炎時に併発する胆汁うっ滞を引き起こす活性酸素種の生成に関して、ウイルスコア蛋白室にによるミトコンドリアと鉄の相乗効果が1つの原因となることが明らかとなった。また胆汁うっ滞時におけるBSEPの局在変動が肝障害の進行に関わることが明らかとしており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、現在開発している胆汁輸送体機能評価SPECTプローブによる胆汁輸送体の機能をモデル動物においてInvivoイメージングを行うことを計画している。
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