研究概要 |
本研究では、オートファジー誘導に必要とされる因子を同定するために、ゲノムワイドRNAiスクリーニングを行う。このスクリーニングは、21,306の転写産物に対して網羅的なノックダウンスクリーニングが可能なショウジョウバエS2細胞系で行う。すなわち、PGRP-LEを発現させたS2細胞で、それぞれの転写産物特異的にRNAiを行い、細胞内寄生細菌であるリステリア菌を感染させる。RNAiにより、PGRP-LEによるオートファジー誘導に必要な因子の発現が抑制されると、リステリア菌の細胞内増殖が抑制されない。したがって、リステリア菌の細胞内増殖をモニターすることで、PGRP-LEによるオートファジー誘導に必要な因子が同定できる。 そのために今年度は、ルシフェリンなどの基質を添加することなくルシフェラーゼ発現に必要な全ての因子群を含むluxABCDEオペロンを、宿主への感染時に活性化するhly遺伝子のプロモーター、宿主感染と関係なく恒常的に発現するsecA遺伝子のプロモーター、および高発現リステリアプロモーター(Help : highly expressed listeria promoter)に連結し、リステリア属菌(病原性のあるListeria monocytogenesは用いずに、病原性が著しく低いListeria ivanovii、および非病原性のListeria seeligeriを用いた)にエレクトロポーレーション法を用いて導入した。これにより、リステリア菌の細胞内増殖をリアルタイムで検出できる感染レポーターが確立できた。このレポーターをPGRP-LEを発現させたS2細胞へ感染させたところ、PGRP-LE依存に細胞内での増殖が抑制されることを確認できた。これにより、ゲノムワイドRNAiスクリーニングが可能となった。
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