研究概要 |
本研究では分子認識を基盤とした難病治療薬の開発を目的とし、基質遷移状態概念に基づいたプロテアーゼ阻害剤の創製、クリックペプチドを用いたアルツハイマー病の発症メカニズムの解析および治療薬創製への応用、さらにタンパク質構造に隠された新しい生理活性ペプチド、「クリプタイド」の同定とその情報伝達機構の解明、ならびにそれに基づいた新しい治療薬の創製研究を行なった。 特に、我々の開発したアスパラギン酸プロテアーゼにおける有用な阻害剤設計の方法論を,マラリア発症に重要な役割を果たすplasmepsin類,アルツハイマー病に関与しているアミロイドβペプチドを生成するβセクレターゼ(BACE1),成人T細胞白血病発症に重要なHTLV-1プロテアーゼに応用して,マラリア,アルツハイマー病,白血病のような難病克服を目指した分子認識に基づく治療薬のデザイン・合成と構造最適化・プロドラッグ等の医薬化学研究を行いその開発への指針を示すことを目指して研究を行った。 マラリア治療薬研究においては、プラスメプシンおよびHAPと阻害剤の複合体の結晶構造を明らかにした。 アルツハイマー病治療薬研究においては、P1位を修飾したペンタペプチドBACE1阻害剤、またin silicoでデザインしたトリペプチド、基質をもとにデザインした化合物が高い活性を持つことを見出した。 HTLV-1プロテアーゼ阻害剤研究においては、疎水性を有する阻害剤が高い阻害活性を持つことを見出した。 アミロイド研究のツールとしてのO-アシルイソペプチド法を用いて、Islet Amyloid Polypeptide、βアミロイドペプチドのE22Δ型変異体を合成し、クリックペプチドの有用性を立証した。
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