研究課題
グルタミン酸受容体GluRδ2のN末端ドメインを結合させた磁気ビーズと小脳顆粒細胞を共培養すると、ビーズの周囲にシナプス前終末が分化誘導される。この共培養系においてシナプス前終末を誘導させた後にクロスリンカーを用いてGluRδ2のN末端ドメインと架橋されたシナプス前終末タンパク質を磁石により濃縮・回収し、高性能液体クロマトグラフィー/質量分析機で網羅的に解析した。その結果、シナプス形成に関与する可能性を持つ膜蛋白質としてneurexin, PTPσ,FAT2を、顆粒細胞から分泌される蛋白質としてCbln1を同定した。顆粒細胞神経終末から分泌されるCbln1の欠損マウスはGluRδ2欠損マウスと類似した表現系を示し、小脳平行線維-プルキニエ細胞間のシナプス結合が障害される。Cbln1遺伝子にCre組換え酵素の標的配列を導入したマウスを作製し、小脳顆粒細胞特異的にCre組換え酵素とプロゲストロン受容体との融合蛋白であるCrePR(誘導型Cre)を発現するECP25マウスと掛け合わせ、プロゲストロン受容体アンタゴニストの投与により誘導的にCbln1を欠損させる系を確立した。また、ゼブラフィッシュ胚を用いたシナプス分子の機能解析系より、シナプス形成に伴う軸索終末へのシナプス小胞の集積と軸索終末の膜形態の変化はそれぞれホスホリパーゼCの活性化によるイノシトール3リン酸を介した小胞体からのカルシウムリリースと神経活動に依存する電位依存型カルシウムチャンネルを介した細胞外からのカルシウム流入によって調節されることを明らかにした。
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