研究課題
脳の様々な領域で発現しているCbln分子群を結合させた磁気ビーズを培養大脳神経細胞に添加すると、Cbln1とCbln2が抑制性のシナプス形成を優先的に誘導した。一方、Cbln4のシナプス形成誘導活性は微弱であった。Cbln分子群のシナプス形成誘導能は大脳の各領域に広く分布しているneurexin 1,2,3と相互作用することにより発揮されることが示された。精製した蛋白質を用いた免疫沈降法およびsurface plasmon resonance analysis法により、Cbln分子群とneurexin分子群は互いに結合し、Cbln1とCbln2は高い親和性を有していることを明らかにした。さらに、大脳に分布するグルタミン酸受容体GluRδ1を発現させたHEK293T細胞と大脳神経細胞を共培養し、主として抑制性のシナプス形成を誘導することを示した。GluRδ1はCbln分子群と結合することから、GluRδ1-Cbln-neurexinが3者シナプス接着複合体を形成することが示唆された。さらに、ゼブラフィッシュin vivoシナプス形成探索系を用いて、protein tyrosine phosphataseσ(PTPσ)が嗅神経細胞のシナプス形成時におけるシナプス数の制御に関わっていることを見出した。これらの結果から脳シナプス形成を制御する分子群が明らかとなった。neurexin分子群とGluRδ1は精神疾患に関与することが示唆されており、これらの成果は精神疾患の病態解明にも寄与することが期待される。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (2件)
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