研究課題
DNAのメチル化は、遺伝子のエピジェネティクス制御において極めて重要であることがわかってきている。中でも、受精直後に生じるグローバルな脱メチル化は、全能性の獲得において極めて重要であるが、その分子機構は不明のまま残されている。PGC7/StellaがDNAのメチル化に関与していることをすでに報告していたが、本年度は、DNAメチル化制御においてPGC7/Stellaが機能する際の分子機構の解析をおこなった。ES細胞を用いたヌクレアーゼ感受性試験、免疫沈降実験などから、PGC7/Stellaは、9番目のリジンがジメチル化されたヒストン3(H3K9me2)を含むクロマチンに結合することが明らかになった。また、受精卵においても、PGC7/Stellaの機能発現には、H3K9me2が必要であることも明らかにした。DNAメチル化はシトシン残基の5位のメチル化(5mC)によって生じるが、最近、ハイドロキシメチル化が同部位に生じる(5hmC)こと、また、ハイドロキシメチル化が重要な生物学的意義を有している可能性が報告され、大きな注目を浴びている。このハイドロキシメチル化にもPGC7/Stellaが関与すること、また、その機能発現にもH3K9me2が関与している可能性を示唆する結果を得ることができた。これらの結果は、DNAのメチル化およびハイドロキシメチル化の制御においてピストン修飾が関与すること、および、初期発生においてはそのいずれにおいてもPGC7/Stellaが関与すること、を示している。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)
Genes Dev
巻: 24 ページ: 887-892
Biochem Biophys Res Commun
巻: 392 ページ: 311-316
J Cell Physiol
巻: 225 ページ: 92-105