研究課題/領域番号 |
21249017
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
菊池 章 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10204827)
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研究分担者 |
山本 英樹 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (20372691)
佐藤 朗 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70464302)
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キーワード | Wnt / ヘパラン硫酸プロテオグリカン / エンドサイトーシス / グリピカン / β-カテニン依存性経路 / β-カテニン非依存性経路 / エクトドメイン |
研究概要 |
本年度は最終年度であり、Wntとヘパラン硫酸プロテオグリカンの関連、Wnt5a抗体を用いた癌細胞の機能抑制に関する解析を行った。プロテオグリカンは様々な成長因子と結合して、その空間的配置や機能を制御することによって多様な細胞機能に関与すると考えられている。プロテオグリカンの一つであるGlypican (GPC)はGPIアンカーによって細胞表面に結合しており、Wntシグナルに関与することが報告されている。私共はこれまでにWntβ-カテニン経路の活性化時に起きる受容体LRP6のリン酸化やカベオリン依存性エンドサイトーシスは、脂質ラフトと呼ばれるシグナル伝達の足場となるマイクロドメインで起きることを明らかにしてきた。GPC4は脂質ラフトに局在し、Wntと結合し、受容体のエンドサイトーシスを促進することにより、β-カテニン経路を活性化した。これらの結果はGPC4が脂質ラフトにWntを集積することによりβ-カテニン経路がより活性化しやすい環境を作り出していることを示唆した。また、GPC4は非脂質ラフトにも局在し、このGPC4はβ行カテニン非依存性経路を活性化した。GlypicanはGPIアンカーの部分がリパーゼによって切断されることで、細胞膜から解離することが知られている。細胞膜から解離したGPC4 ectodomainはWntと結合する性質は維持されていたが、細胞膜上のGPC4と異なり、β-カテニン経路とβ-カテニン非依存性経路を抑制した。細胞膜から解離したGPC4 ectodomainはWnt3aやWnt5aとそれらの受容体との結合を阻害した。このようにGlypicanがWntシグナルを制御するには脂質ラフトと非脂質ラフトに局在すること、また、細胞膜にアンカーしているか、あるいは細胞膜から解離しているか等の性質が重要であり、Glypicanのこれらの性質がどのようにコントロールされているのかを解析することが今後重要になってくると考えられた。
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