高速シーケンサーを用いてヒト疾患ゲノム解析を行うために鍵となると考えられるゲノム領域を選択する技術を用いて、この技術と高速シーケンサーを組み合わせて効果的なヒト疾患責任遺伝子単離・同定法を確立することを目的として研究を行った。PCRによるゲノム領域をカバーするゲノム領域特異的増幅法、150-200merのビオチンラベルcRNAを領域特異的プローブとして溶液中でハイブリさせる液層ハイブリ法を用いて遺伝性要因の高いと考えられる複数の疾患を対象に次世代シーケンサー解析を開始した。産出したゲノムシーケンス情報は、現行のデータベース上のヒトゲノム参照シーケンスとSNP情報を参考に変異塩基のリストを作製し、それぞれの変異について症例とその両親のゲノムでの確認を行い、新生突然変異(fresh mutation)を探索・同定している。液層ハイブリ法の検討では、ターゲット領域以外に多数の領域のデータが獲得されハイブリダイゼーションによる曖昧さをインフォマティクスでどう除外するかを検討している。各種のバイオインフォーマティクスアプローチによるデータ比較も同時に行い各種アプローチの問題点や効率を検討中である。また次世代シーケンサーのエラー率を明らかにするため疾患遺伝子をエクソン領域毎に増幅し解析して変異やSNP情報を検証する準備も進めている。ゲノム領域分画技術のそれぞれの比較検討は、コスト面を考慮してまずは異なる疾患で異なるアプローチを試す方向で研究を進めている。
|