研究概要 |
本研究は免疫学的な癌の多様性の解析をめざし、ヒト癌の根幹細胞と考えられる癌幹細胞あるいはcancer initiating cellsに対するT細胞免疫応答の全容を分子免疫病理学的な手法を使い明らかにしようとするものである。本研究の成果は免疫学的癌治療、癌予防に立ちはだかる癌の免役逃避機構等にも大きな解決方法を与えるものと思われ、最も有効なヒト癌治療、予防への方策を得るものと思われる。また病理学的にも本研究は大きな発展が期待され癌幹細胞の新たな特徴づけが可能になる研究につながるといえる。 まず、骨軟部腫瘍からヒト癌幹細胞(SCS)、癌起始細胞(CIC)の分離を解析した。その結果SP(side population)法により、ヒト骨肉腫よりCSC/CIC分離に成功した。次にSP法ばかりでなく、ALDH-1法も併用し大腸癌、前立腺癌、卵巣癌、口腔癌でCSC/CICの分離に成功した。それらに特異的に発現する抗原を種々の方法で解析した。 それらのうち (1)-Or7c1(olfactory receptor family 7 subfamily C member 1) (2)-Sox-2(sex determining region Y-box 2) (3)-SMCP(Sperm mitochondria-associated cystein-rich protein) (4)-DNAJB8(DnaJ(Hsp40)homolog,subfamily B,member 8) について大きく研究が進んだ。T細胞エピトープも決定した。またin vivo系での治療、予防効果も確認した。
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