癌、自己免疫病、感染症などにおける免疫応答のメカニズムは充分には明らかとなっておらず、その解明はこれらの難治疾患の克服に必須である。申請者らはNK細胞やT細胞、マクロファージ上などに発現する白血球活性化受容体であるDNAM-1(CD226)とそのリガンドを同定し、新しい研究領域を開拓してきた。最近、申請者らはDNAM-1遺伝子欠損マウスにおいて、1)炎症に伴う腫瘍形成の低下、2)自己免疫病発症の低下、3)細胞内寄生体感染による死亡率の亢進などを見いだし、DNAM-1が腫瘍、自己免疫病、感染症において重要な役割を担っている可能性を示した。本研究では、1)癌、2)自己免疫病、3)感染症の3つを縦糸とし、これらの病態に共通に関与する白血球活性化受容体DNAM-1を横糸として、これらの難治疾患の病態におけるDNAM-1の役割を包括的に解明するとともに、マウスモデルを用いてDNAM-1を分子標的とした治療法を開発する。平成23年度は、DNAM-1のリガンドであるCD155の遺伝子欠損マウスを用いて、CD4+T細胞上のCD155と抗原提示細胞上のDNAM-1の結合がTh1分化に重要な役割を担い、接触制皮膚炎の誘導や喘息の病態に関与する事を明らかにした。また、抗CD155抗体で接触制皮膚炎の予防が可能であることを示した.
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