研究概要 |
もっとも速い速度で運動する,マイコプラズマ=モービレ(Mycoplasma mobile)と,ヒト病原菌であるマイコプラズマ=ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)について研究を行い,以下の成果を得た(それぞれ(1-7)(7-8)に該当).(1) 合成遺伝子をもとに取得した組み換えタンパク質を用いて,これまでに本研究で得られていた,滑走を特異的に阻害する多数の抗体の標的部位を明らかにした.(2) 滑走装置を構成する3つのタンパク質,Gli123, Gli349, Gli521をネガティブ染色電子顕微鏡法で観察することにより,高解像度のイメージを得た.(3) 滑走装置を菌体から遊離し,単離することに成功した.(4) 滑走時のあしの数を減らし,菌休の動きから一本のあしの動きを観察することに成功した.(5) 遺伝子操作方法の開発を目指し,ベクターの開発と形質転換の素過程の可視化を行った.(6) 単離したあしタンパク質のシアル酸結合活性を,原子間力顕微鏡を用いて測定した.(7) 16種類の合成シアル酸化合物を用いて,滑走における直接の結合対象の化学構造を明らかにした.(8) 滑走装置を支える細胞骨格を観察する方法を改善し,これまで見つかっていなかった詳細な構造と,新たな構成タンパク質を発見した.
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