研究概要 |
本年度も、I型IFNsによる造血幹細胞(HSC)の運命決定制御機構を明らかにし、ウィルス感染における当該成果の意義を探求し、さらに新しい白血病治療法や骨髄移植法の開発に繋げることを目的として研究を推進し、以下の成果を得た。 1)ウィルス感染によるHSC細胞周期進展と生物学的意義 ウィルス感染時に、I型IFN以外にもII型IFN、TNF-α、IL-27が生産され、いずれのサイトカインも単独投与によりHSCを細胞周期へ動員することが判明した。さらに興味深いことに、I型IFN受容体およびII型IFN受容体の両者を欠損するマウスではウィルス感染時にTNF-α、IL-27が生産されないこと、HSCを細胞周期への動員もまったく起こらないことを見出した。 2)慢性骨髄性白血病治療法の確立 昨年度までに、p210 BCR-ABL遺伝子を組み込んだpMSCVレトロウィルスベクターを用いてマウス慢性骨髄性白血病(CML)モデル系を立ち上げた。本年度はさらに、移植後10~20日にイマチニブを投与、イマチニブ投与開始後3,5日目にpoly I:Cを投与する治療法を試行、一定の治療成績を得ることができた。 3)新規骨髄移植法の開発と疾患治療への応用 本年度は、副作用の強い従来の骨髄移植法の代わりに、I型IFNsと5-FUあるいはI型IFNsと1.5Gy(従来の数分の1程度)放射線照射を用いた骨髄移植法を確立した。
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