研究課題/領域番号 |
21249035
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
石川 澄 広島大学, 病院, 教授 (30168190)
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研究分担者 |
奥原 義保 高知大学, 医歯学系, 教授 (40233473)
合地 明 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 教授 (10186877)
木村 映善 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (20363244)
津久間 秀彦 広島大学, 病院, 准教授 (10222134)
田中 武志 広島大学, 病院, 助教 (40325197)
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キーワード | 病院情報システム / 電子カルテ / 一次利用 / 二次利用 / 医療安全 / 信憑性 |
研究概要 |
1.病院情報システムの評価指標の検討:従来の評価方法は、利用者へのアンケート調査が多いが客観性に欠ける。そこでシステムのアクセスログを用いて、利用状況や診療プロセスを客観的に評価する方法を検討した。通常のアクセスログの内容5W1H(何時、どこで、誰が、誰に、何を、どのように)の範囲でも、システム導入前後の様々な電子医療記録へのアクセスパターンの比較から、システムが利用者に受け入れられているか、機能上どこに問題がありそうかを客観的に把握可能なことが示された。また疾病や症状毎に分析・評価するために、5W1Hに、更にWHY(何のために)情報を付加する重要性が示された。 2.蓄積データの信憑性向上のための共通要件の検討:(1)蓄積されたデータが、「信憑性」 を有するための要件を整理した。(1)同じ病院の主治医以外医師やコメディカルが、患者データを見て、診療の全体的流れと行為の意味、および患者状態の全体像が俯瞰・理解できる。(2)他病院の医師が複数病院にまたがる患者の記録を見て、それまでの診療の意思決定の流れと根拠が理解でき、継続的な診療に役立つ。(2)(1)を実現するために患者情報の収集/入力/伝達/蓄積/活用の一連の流れに一貫して必要となる要件を整理して、「物語性」「一覧性(概括性)」「連続性」「正確性」の確保をキーとする4階層モデルを考案した。 3.病院情報システムの稼働状況・問題意識・満足度等の全国規模調査:「日本医療機能評価機構認定病院患者安全推進協議会・会員病院」を対象にアンケート調査を行い、電子化の進展が医療安全や医療の質向上にどのように貢献しているか、どこに問題があるかを分析した。その結果、現状の病院情報システムの多くで、医療者が、蓄積データから患者の全体像を俯瞰することに苦労している実態が明らかとなった。その原因として、多くの施設が、データの連続性や正確性の確保に課題を抱えていることが浮き彫りとなり、2.(2)のモデルの有効性が裏付けられた。
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