研究分担者 |
川野 徳幸 広島大学, 平和科学研究センター, 准教授 (30304463)
星 正治 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (50099090)
遠藤 暁 広島大学, 工学研究院, 准教授 (90243609)
木村 昭郎 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (70127645)
原田 結花 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (50379848)
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研究概要 |
原爆被爆者の死亡リスクの地理分布について,1970年1月1日の時点で生存・登録されている広島原爆被爆者を解析対象のコホート集団として設定し,2009年12月31日まで追跡を行い,生存時間解析法を適用し,全死因に関する死亡リスクの地理分布の推定を行った.その結果,死亡リスクが北西方向の地域で他より高い円形非対称性が認められ,黒い雨や残量放射線および内部被曝といった付加的な曝露の影響であることが示唆された.また,被爆者健康手帳の取得期間の長さと疾患死亡リスクの関連性を検討した.その結果死因が脳血管疾患の男性についてのみ,手帳所持期間1年につき死亡相対危険度が4%有意に低くなっていることを見出した. 直接被爆以外の要因による放射線被曝の影響を評価するために,^<235>Uが1ktの核分裂を起こしたときに生成される核分裂生成物放射能を用いて,β線スペクトルを作成し,黒い雨に関わる被曝線量推定の見直し作業を行った. 原爆被爆者やセミパラチンスク核実験場周辺住民,さらにチェルノブイリ原発事故被災者で増加している前白血病の一種である骨髄異形成症候群に焦点を当て,それらの集団内でRUNX1変異が高頻度に検出されることを見出し,疾病発生原因遺伝子異常の一つと考えられた. 被爆60年・朝日新聞アンケートデータを用いて,被爆者本人の健康に関する不安や子や孫の健康に関する不安における被爆状況依存性の解析を行った. さらに,広島平和記念都市建設法の歴史的意義を再考察した.「世界平和の象徴」として広島が特別な意義を持つというアピールが成功し,復興に大きく寄与したこと,一地方都市が「世界平和」を象徴するという重荷負ったことの意味を指摘した.また,被爆が都市生活に与えた影響について,後期資本主義の特徴という点から再検討した.
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